阿部橘〜右近の橘、左近の桜。

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阿部橘〜右近の橘、左近の桜。

2019/11/19

阿部橘〜右近の橘、左近の桜

春日大社萬葉植物園より

春日大社 万葉植物園の
にほんたちばな(大和橘)は
黄色く色付き、鈴生りでした!

昨日、萬葉植物園 を管理されている
春日大社主事補の木多さんに
橘についてお聞きしてきました。

頂いた資料の中に、
大和橘については勿論ですが、
他に興味深い文献がありました。

頂いた資料「樹木大図説」上原敬二著 有明書房  
「四季の花辞典」麓 二郎著 八坂書房の中に

『阿部橘(アベタチバナ)』
について書かれていました。

 吾妹子(わぎもこ)に逢わなく久しうまし物
             阿部橘(あべたちばな)の苔生すまでに 
                                                       万葉集巻十一

(大意-妹に逢わずに時がたった。
阿部橘に苔が生えるほどまで
-日本古典学大系)

阿部橘は『倭名抄』に
「橙、安倍太知波奈、柚に似て小なるものなり」と記されている。
このダイダイ(橙)わが国に渡来したのは、
第十二代景行天皇の頃と伝えられているほどきわめて古い。…

つまり阿部橘とは、
現代で言う橙(ダイダイ)を指し、
代十一代垂仁天皇の時代田道間守が
常世国から『橘』を持ち帰ったのが、
垂仁天皇崩御後であったのを考えれば、
ほぼ同時期に阿部橘と
呼ばれる柑橘が存在したことになります。

その、阿部橘の名前の由来は、
現在の奈良県桜井市にある
大化元年(645)創建、
安倍晴明修行場でもあり、
安倍首相も「第90代内閣総理大臣 安倍晋三」
名義で石塔を寄進している
安倍文殊院の地『阿部』
にあったことに因む
ともいわれているそうです。

前回、安倍晴明の母は橘氏の女
であることが伺える。と書きましたが、
あながち嘘ではなさそうですね。

『アベ』とは、『久しきに耐える』
の意とあります。

ダイダイ(橙)は代々家系が、繁栄する
ことを願ってお正月のしめ縄などに
利用されますが、
そもそも、
しめ縄は「結界を張る」意味で
作られたとされるので、
そのしめ縄に
安倍橘を付けるのは
代々家が守られるように。
という意味が込められたもの
だったかもしれませんね。

因みに、安倍晋三首相の妻
昭恵夫人の外曾祖父の
森永製菓創設者 森永太一郎氏は

田道間守が橘を持ち帰って一株植えた
とされる伊万里神社こと、
旧香橘神社(コウキツジンジャ)に
銅像か置かれている。

安倍と橘は切っても切れない縁
なのかもしれませんね。

そして、右近の橘、左近の桜。
橘はいつも桜を愛でている…

歴史は昨日知ったところ
によりますが、
私が精油にしている橘は
その桜井市阿部の横の土地の物でした…